経口血糖降下剤(SU剤)の二次無効


経口血糖降下剤(SU剤)を開始した当時は血糖がよくコントロールされていたが次第に血 糖コントロールが悪化して、薬が無効になることがあります。これを広い意味での(広義の) 経口血糖降下剤の二次無効といいます。これに対してはじめから薬の効果がないものを一 次無効といいます。

二次無効の原因としては、食事療法の乱れ、運動不足、そしてその結果として肥満など があります。そのほかに感染症、薬の服薬の忘れなども考えられます。こういうように原 因が明らかなものはその原因を取り除けば薬がまた効くようになる可能性があります。

しかし、中には上記のような明らかな原因が見あたらないのに薬が効かなくなることが あります。これを狭義の二次無効といいます。狭義の二次無効の原因としては、膵臓から のインスリン分泌能力が次第に低下してきていることがもっとも考えられます。

さて、膵臓からのインスリン分泌が低下してしまった場合、もう回復の望みはないので しょうか。たとえば高血糖が長時間続くと膵臓からのインスリン分泌が低下することが知 られています。ブドウ糖は人間のエネルギー源として重要ですが、血糖が高すぎる状態で はこれが「毒」として働きます。これを「糖毒性」などといいます。このような場合イン スリン注射などで血糖を下げてやると(糖毒性の解除)再びインスリン分泌が回復してくる ことがあります。インスリン分泌が回復すればインスリンの量を減らしたりやめたりする ことも可能です。糖尿病患者さんの中には、一度インスリン注射を始めると、ずっとやめ られないと思いこみ、かたくなにインスリン注射による治療を拒む人もいますが、これで は本末転倒です。

また、二次無効の中にはSPIDDM(緩徐に発症する1型糖尿病)と呼ばれる特殊な病型の 糖尿病も含まれていますが、そう多いものではありません。 いずれにせよ、血糖を適切にコントロールして「糖毒性」の被害にあわないようにする ことが大事です。


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