糖尿病の新しい診断基準


1999年5月日本糖尿病学会で、「糖尿病の分類と診断基準」の改定がなされました。これに よると(1)空腹時血糖が126mg/dl以上(2)75gブドウ糖負荷試験の2時間値が200mg/dl以上 (3)随時血糖が200mg/dl以上、のいずれかが別の日に行った2回以上の検査で確認されれば 糖尿病と診断してよい、となっています。1回の検査だけの場合は「糖尿病型」といいま す。

「糖尿病型」であっても糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲・多尿、体重減少)がある 場合は糖尿病と診断されます。また、ヘモグロビンA1cが6.5%以上とか、糖尿病性網膜症 が見つかっている場合も糖尿病と診断されます。

今までの基準では空腹時血糖が140mg/dlで糖尿病と診断されていましたので、糖尿病の 基準が厳しくなりました。実はこの背景には、空腹時血糖のみで糖尿病の診断をつけよう というもくろみがあったようです。この場合空腹時血糖を140で切ると糖尿病を見逃す恐 れがあるため126になったようです。(126という数値は半端なように思えますが 126mg/dl=7mmol/lとなり単位をmmol/lで考えるとちょうどの数値となります。)

さて、ブドウ糖負荷試験で正常型と言うには今までは、負荷前が110mg/dl未満、一時間 後が160未満、2時間後が120未満でこれらをすべて満たしていなくてはなりませんでし た。しかし、今回の改定で負荷前が110未満、2時間後が140未満を満たしていると正常 型と呼ぶことになりました。これは、従来よりも少し甘くなっています。

「正常型」「糖尿病型」のどちらにも入らないものを「境界型」と呼びます。

診断基準が変わったかといって、基本的な治療方針などには変わりはありません。食事 療法と適切な運動療法が治療の基本であることに変わりはありません。


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