糖尿病に関する諸検査


糖尿病で、通院するといろいろな検査が行われます。 そのうちのいくつかは、すでに紹介しましたが、今回はもう少し詳しく紹介します。

(1)血糖値 これは、すでに十分ご存知のことと思います。

(2)HbA1c これも、「糖尿病手帳」に、 毎回記載されますのでおなじみの言葉だと思いますが、 念のため、解説します。
血糖値は、ご存知のように空腹時には、低く食後には上昇します。 従って、採血の時間により同じ日でも高い低いの差が出ます。 従って、2週間に1回程度ある時刻に1回だけ調べても、 これだけで血糖のコントロールがよいのか悪いのか、 なかなか判断できないことも少なくありません。 過去の血糖の平均値みたいなものがわかれば便利です。 HbA1cが、まさに過去の平均値に相当します。 これが高いと、平均して血糖が高かったということになります。 少なくとも、この値が7%以下になるようにしたいものです。

(3)FRA これも、HbA1cと似ています。 1週間くらいの比較的短い期間の平均的血糖値を表すと考えればよいでしょう。 施設により、使われる単位が違います。病院がかわったときなどは注意が必要です。

(4)1,5AG これは、人間の血液中に微量に存在するもので、 ブドウ糖に非常によく似た物質です。 従って、尿糖が出るときに一緒に尿中に排出されてしまい、 血液中の濃度が下がってしまいます。これが、低いと言うことは尿糖が出たということです。 しかし、年齢などいろいろな条件で値が変わることもあります。

(5)尿糖 尿中に出る糖です。血糖がある程度以上高くなると尿に出てしまいます。 (6)尿タンパク 糖尿病性腎症の時に、尿中にタンパクが出てきます。 これをチェックする意味でも尿タンパクを定期的に調べる必要があります。 もちろん、糖尿病性腎症以外でも、尿タンパクが出る病気はたくさんあります。

(7)尿ケトン体 インスリン非依存型糖尿病(NIDDM,糖尿病の大部分はこれです)の場合、 尿中にケトン体が出ることはほとんどありません。 重症感染症などを合併して、ケトーシスという重篤な状態の時に出現します 。万一これが陽性であれば、すぐに病院にかからなくてはいけません。

(8)尿中Cペプチド 膵臓からインスリンが出てくるとき、 一緒にCペプチドという物質も出てきます。 これは、尿中に出ますので、尿を1日ためておいて、そのなかのCペプチドを測定すれば、 1日に分泌されるインスリンの量の目安となります。

ほかにもまだまだいっぱいありますが、以上の8項目くらい知っていれば十分でしょう。 検査の値に、一喜一憂するのは好ましくありませんが、 検査値に対して全く無関心というのも困りものです。


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