食品交換表


糖尿病治療で、もっとも基本になるのは食事療法です。 しかし、食事療法が大事であることがわかっていても、 具体的にどんな食事をどれだけ食べればよいのか意外に わかっていない人が多いようです。

まず、1日の総エネルギー量を決めなくてはいけません。 その人の体格や、仕事量、合併症の有無などにより、 主治医から指示されるのが普通です。

さて、そのエネルギーをどのように食品に配分して 食べるかはなかなか難しい問題です。

一番簡単で、確実なのが「食品交換表」(日本糖尿病学会編) を利用することであることは、多くの糖尿病患者さんが知っています。 しかし、「昨日は、甘いものを食べなかったのにどうして血糖が高いのでしょうか」 などという質問を外来出よく受けます。 言葉では知っていても、実際の利用方法がわからない、 食品交換表は持っているが使い方がわからない、 以前に習ったがもう忘れてしまったという人も多いのではないでしょうか。 まずは、1日の総カロリー(単位)をどの表から取るかを決めなくてはいけません。 1200キロカロリー(15単位)の場合は、 表1から6まで順に、6,1,4,1.4,1,1単位それに その他調味料から0.6単位とります。 指示カロリーが15単位より多い場合は表1を増やすことが多いようです。 それぞれの表には、1単位あたりのグラム数が出ています。 ご飯であれば1単位が55グラム(茶碗に軽く半分)です。 1日の指示カロリーが15単位であれば表1は1日に6単位とれますから、 1食中たり2単位とするとご飯を茶碗に軽く1杯とるともう表1のものはとれません。 このように、具体的に量を決めていきます。

目分量では不正確になり次第に量が増えてくるので、 はかりで正確に計って食べることが重要です。 最初から、目分量に頼っていては食事療法の効果はほとんどないといってよいでしょう。 「きちんと食事療法をしているのに血糖がよくならない」 という患者さんに「あなたの指示カロリーはいくらですか」と聞いても答えられる人はいません。 この患者さんにとっては、食事療法とはいったい何だったのでしょうか。 糖尿病は、患者さんが自分でどんどん勉強しなくてはいけません。 病院やら他人任せではよくなりません。

さて、話を食品交換表に戻すします。各表は栄養素の種類がほぼ同じものを集めてあります。 表1は穀物、いも、豆などです。豆の仲間でも大豆は、たんぱく質が多いので表3になるので注意が必要です。

表2はくだものです。アボガドは、脂肪が多いので表2ではなく表5の食品です。

表3は、魚、肉、たまごなどたんぱく質の豊富な食品の仲間です。 豚バラ肉、ベーコン、サラミソーセージなどは脂肪が多いので表3ではなく、表5に入ります。

表4は、牛乳と乳製品です。チーズは、たんぱく質が多いので、表3に入ります。

表5は、脂肪を含む食品です。脂肪は、カロリーが高いので注意する必要があります。 この表には、油脂のほかに多脂性食品として、すでに述べたアボガドや、豚バラ肉、 ベーコンや、ごま、ピーナッツ、ポテトチップスなどが含まれます。

表6は野菜類です。表6の仲間でもかぼちゃ、れんこんなどは糖質が多いので多く食べるときは 表1として取り扱うものもあります。

このように見ていくと一見複雑そうに見える食品交換表の分類も比較的簡単です。 各表の代表的な食品を1つ付託2つ覚えると類推でこの食品は表のどれに含まれるかわかってくるものです。 あとは、例外的なものを覚えればよいでしょう。


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