新しい肥満の薬


いわゆるやせ薬と称するものは、昔からいろいろい知られていました。しかし、副作用が強すぎて薬としては使えなかったり、あるいは適応基準が厳しく制限されているものなどが多く、実用的ではありませんでした。

しかし、最近リモナバンという薬が、ヨーロッパを中心に使われ始めています。

これは、CB1と呼ばれる受容体を阻害する薬で、食欲を抑制します。CB1受容体にある化学物質が結合すると食欲がすすみます。これを阻害するので食欲が抑制されるわけです。

昔から、大麻が食欲を増すことが知られていましたが、まさに大麻の成分がCB1受容体に結合して食欲を増進させていたのです。

さて、このリモナバンは、実際に人間に使った場合、体重は思ったほど減らないことがわかっています。それでも、2型糖尿病に対しては、血糖値を下げるなどの効果も判明しつつあります。その他肥満に関連した病態の改善に役立ちそうだというデータの報告が増えつつあります。

副作用としては、抑うつ状態、不安などの精神症状や、吐き気などの消化器症状が知られています。

この原稿を執筆時点(2007年7月12日)時点では、アメリカではまだ薬としては承認されていません。日本では、まだ治験段階です。

この薬が、日本でも使えるようになったとしても、食事療法の重要性はかわらないと思われます。恐らく、食事療法の補助的な薬として位置づけられるのではないかと思われます。


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