糖尿病と皮膚の自家蛍光


種々のたんぱく質と、糖が接触すると、「糖化たんぱく」というものが形成されます。これには、酵素は必要なく単にたんぱく質と糖が接触すれば起こり得ます。この現象は古くから食品化学の分野で知られていました。糖尿病の検査としてよく行われるヘモグロビンA1cも糖化タンパクの一種です。

さて、糖化タンパクは、時間がたつと最終糖化反応生成物であるAGEといわれるものが生成されます。このAGEがいろいろ悪さをすることがしられています。

さて、このAGEは、皮膚にも蓄積されます。血糖コントロールの悪い状態が長く続くとAGEがどんどん蓄積されていきます。では、どのようにして皮膚のAGE量をはかればよいのでしょうか。皮膚をはぎ取って調べることもできますが、これは実用的ではないですね。

実は、皮膚の自家蛍光(皮膚が蛍光を発する)強度を調べると、AGEの蓄積と相関関係があることがわかっています。これは、皮膚に自家蛍光を測定する装置を皮膚に当てるだけなので、被験者の苦痛は全くありませんし、繰り返し測定することもできます。

この皮膚の自家蛍光強度と、合併症とか、冠動脈疾患(心筋梗塞など)の関係が盛んに調べられており、次々と新しい知見が報告されつつあります。

将来的には、糖尿病の人は、外来でまず皮膚の自家蛍光強度測定をしてから、診察を行うという風景が日常的になるかもしれませんね。


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