睡眠時無呼吸症候群


最近、テレビ・新聞等で「睡眠時無呼吸症候群」という言葉を目にすることが多くなりました。これは、一体どんな病気なのでしょうか。

これは、睡眠障害の一つです。眠っているときに、呼吸をしない(止まっている)状態が頻繁に起こります。10秒以上の無呼吸が一晩に30回以上起こるか、1時間に5回以上起こる場合が目安となります。また、人間は眠っているとき、脳が活発に活動している時期とそうでない時期が交互にやってきます。この「脳が活発に活動してる」時にも無呼吸が現れるのが「睡眠時無呼吸症候群」の特徴です。

「睡眠時無呼吸症候群」には、「閉塞型」「中枢型」「混合型」の3つのタイプがあります。「閉塞型」はのどの部分が狭く、睡眠中に空気の通り道が遮断されて、無呼吸が起こります。このタイプが圧倒的に多いようです。肥満が一番の原因です。咽頭(のど)の壁に脂肪がついて、これが息を吸い込むときに、空気の通り道を塞いでしまいます。日中はのどの周りの筋肉ががんばって、何とか空気の通り道を広げているのですが、睡眠中には筋肉の活動が弱まり閉塞が起こります。「中枢型」というのは呼吸を司っている脳の働きに障害があるために無呼吸が起こります。「混合型」というのは、この2者が混在して無呼吸が起こるタイプです。

閉塞型無呼吸症候群では「いびき」は必発の症状です。また、睡眠中にしばしば無呼吸が起こるため、熟睡できず日中に眠気が襲います。これが、居眠り運転につながります。睡眠時無呼吸症候群の人は交通事故を起こす確率が非常に高いことが知られています。 また、しばしば無呼吸が起こるため、血液中の酸素が減少し、炭酸ガスが増加します。これが、いろいろな病気の引き金となります。高血圧は、非常に高い頻度で合併します。高血圧により心臓に負担がかかり、心不全・心筋梗塞などを引き起こすこともあります。また、インスリン抵抗性や糖尿病とも強い関連性が認められています。

鼻CPAPと呼ばれる装置による治療が有効です。これは、マスクを睡眠時に装着します。呼吸が止まると機械がこれを感知して、強制的に陽圧の空気をマスクから送り込み強制的にのどを広げて、呼吸をさせるものです。

肥満があれば、これを解消する努力も重要な治療のひとつです。


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