糖尿病とアルツハイマー


「アルツハイマー病」という病名は、新聞・テレビなどでよく見かけます。

脳にベータアミロイドタンパクとよばれる異常タンパクが蓄積して、脳の神経細胞が変性・脱落していく病気です。比較的若い頃から発症することが多い病気です。「物忘れ」程度の軽い症状から始まって、次第に痴呆が進行していきます。

 さて、以前から糖尿病では、アルツハイマー病になる人が多いのではないかといわれていました。

糖尿病では、いわゆる「インスリン抵抗性」が顕著であり、これが異常タンパクの蓄積に関係がある、という報告があります。さらに、脳細胞にインスリン受容体を持たない動物を作り出したところ、肥満や糖尿病になり、脳内でのタンパク代謝に異常が見られたという実験もあります。

また、大規模な研究ではオランダの「ロッテルダム・スタディ」が有名です。これによると、インスリンを使っている糖尿病患者では、アルツハイマー病のひとがが多いそうです。

いろいろな、文献でも糖尿病とアルツハイマー病の関連が指摘されています。

ところが、日本では、これと全く反対の研究結果も出ているようです。 糖尿病のひとを調べると、アルツハイマー病の頻度が低いというものです。アルツハイマー病では、食欲が減退し体重が減少し、インスリン抵抗性が起こりにくいといっています。確かにアルツハイマー病で肥満のある人はほとんど見たことがありません。

さらに、今後の調査、研究が待たれます。


目次(13)に戻る 前の号を読む 次の号を読む ホーム・ページに戻る