自己血糖測定と糖尿病コントロール


 インスリンを使っている糖尿病の患者さんが自分で自分の血糖値を測定することが、現在ではごく普通に行われています。これを自己血糖測定といいます。

自己血糖測定の器具はずいぶん改良され大変小型になり扱いやすくなってきています。 自分で血糖値を測定し、ノートなどに記録し次回通院するときに病院に持っていきます。

しかし、いちいちノートなどに書き留めるのは面倒なので、機械に測定値を記憶させる仕組みを持ったものが出てきました。測定した日時と血糖値が記録されるわけです。

さらに、血糖測定の器具とコンピュータを接続すると、記録するデータを整理してグラフ化したり、平均値を出したり出来るものも出現してきました。これを「コンピュータ支援自己血糖測定」などとよぶことがあります。

かなり昔、「何とか支援」と名の付くコンピュータソフトが多数出回ったことがあります。筆者はこの「何とか支援」という言葉を聞くと、「古くさいソフトだな」という印象を持ってしまいます。

 さて、以前はコンピュータ支援自己血糖測定は、血糖コントロールにはあまり役立たないというのが、一般的な見方でした。

しかし、最近、九州大学の先生たちはこれを用いることにより、血糖コントロールが改善したという報告をしています。ヘモグロビンA1cはコンピュータ支援自己血糖測定を始める前が8.3であったものが、開始後3ヶ月で7.9に下がったのを観察しています。一方この方法を行わなかった群では観察開始時8.6、3ヶ月後で8.5とほとんど変化が見られなかったそうです。

 通院のたびに、血糖の平均値等が即座に表示されれば、反省や励みとなり血糖コントロールに反映されるのかも知れません。

コンピュータなど使わなくても、測定値を書き留めて自分でグラフ化したり平均値を計算したりしても、同様な結果が出るのかも知れません。しかし、これはかなり面倒な作業なので、多くの患者さんにとって実現可能なことではありません。やはりコンピュータの力を借りた方が良いようです。


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