糖尿病性神経障害の薬


糖尿病性神経障害は、 いろいろな症状を呈しますが患者さんにとってつらいのは足の異常感覚でしょう。

時には足のピリピリ感のため睡眠障害を起こすこともあります。 痛みとして感じることもあります。

あまりにも痛みが強いときは、リドカインという薬を静脈注射することもあります。 この薬は不整脈の薬で、局所麻酔剤でもあります。 筆者は経験がありませんがこの薬を一度静脈注射すると数日から数週間有効であるという文献もあるよう です。しかし、あまり一般的な治療法ではありません。

外国で1988年にメキシレチンという内服薬が糖尿病性神経障害による痛みに有効で あるという報告がなされました。この薬はもともと不整脈の薬として使われていました。

なぜ不整脈の薬が糖尿病の神経障害の症状に効くのでしょうか。この薬は細胞の膜を安定 化して不整脈を防ぐと考えられていました。糖尿病による神経障害の症状の一部は神経細 胞の膜が不安定になり引き起こされるので、この薬が有効である根拠となっています。

この薬を服用して改善するのは、「足がピリピリする」「ジンジンする」「足先が針で刺 される」といった症状が多いようです。また、アルコールを飲んでいる人には効果が少な いという報告もあるようです。

また、この薬はもともと不整脈の薬なので安易に使用すると思わぬ心電図変化などが生 じることもあります。

いずれにせよ、血糖コントロールを改善し、安定化することが基本になければ、どのよ うな治療法もあまり意味はありません。


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