肥満のタイプ


肥満と糖尿病は密接な関係があることは、すでにご存知のことと思います。 肥満のある糖尿病では、肥満が是正されれば、ほとんどの場合血糖値は驚くほど改善されます。 今回は、肥満のタイプについて解説をします。 「肥満」とは、体に過剰に脂肪がたまった状態をいいます。 当然体重は重くなります。 一般には、体重が多すぎることを肥満といいますが、脂肪が増えずに体重だけが多くなった場合は、 肥満とはいいません。 たとえば筋肉の量が増えて、体重が増えたときなどです。  さて、最近「皮下脂肪型肥満」「内蔵脂肪型肥満」などという分類が行われています。 脂肪がたまる場所による肥満の分類です。 体の表面に近い部分(皮下組織)に脂肪がたまるか、おなかの中にたまるかの違いです。 CTという検査機器が発達したおかげで、 脂肪の蓄積部位が明確にわかるようになったためこのような分類ができるようになったのです。 いろいろな患者さんを調べて、「内蔵型肥満」の人は、 「皮下脂肪型肥満」の人にくらべていろいろな合併症が多いことがわかってきています。 同じ身長、同じ体重の肥満であっても、その脂肪のたまっている場所によって、 病気との関連性に違いがあるのです。 「内蔵脂肪型肥満」では、コレステロールが高くなりやすかったり、 心臓に無理がかかりやすく、また血圧にも影響がでやすいことがわかっています。 糖の代謝にも悪影響を及ぼしやすくなります。  肥満、耐糖能障害、高中性脂肪血症、高血圧の4つを合わせ持つことを 「死の四重奏」(デッドリー・カルテット)といったりします。 これは、この4つを合わせ持つと、心臓の冠動脈硬化が非常に起こりやすくなり、 心筋梗塞で死亡する確率が高くなるからです。 ここでいう肥満もほぼ「内蔵脂肪型肥満」を指しています。 (さらに正常体重であっても、内蔵脂肪が蓄積すると、 動脈硬化の発症に重要な意義を持っているらしいことが最近いわれてきています。) なぜ、内蔵脂肪がたまるかについては、よくわかっていません。 相撲取りには、「内蔵脂肪型肥満」が少ないことがわかっており、 運動不足が内蔵脂肪をためる一つの原因であることが考えられています。 内臓に脂肪をため込まないためにも、適度な運動は必要なのです。


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