糖尿病とDCCT


糖尿病に関する、大規模疫学調査ではDCCTが、最も有名な試験のひとつです。 これは、1983年から1993年まで行われた調査です。対象は1型糖尿病で、1441名が調査対象とされました。

この試験では、調査対象を網膜症の無い群と、すでに軽い網膜症が出ている群にわけ、それぞれをさらに、インスリンを一日1、2回注射する(簡便療法)群と、3回以上もしくは、インスリン持続注入器を使って治療する(強化療法)群に分けて経過が観察されました。

その結果、網膜症の無い群では、3年後に強化療法群で網膜症の発生率が簡便療法群に比べ低いことがわかりました。すでに網膜症のある群では、最初強化療法群で、網膜症の進展がみられたものの、3年目以降では網膜症の進展は抑えられたとの結果がでました。

また、治療法と高血圧や高中性脂肪血症、心血管系イベント(心筋梗塞など)の発生率については統計学的に、はっきりとした結論はでませんでした。

結局、この調査では、強化療法で厳密な血糖コントロールを行うことにより、網膜症等の最小血管障害の発生を抑制できるというものでした。

93年時点で、強化療法をしないと、網膜症の発生率が高くなったり、進展が進むと言うことが明らかになったので、DCCTは打ち切られました。

その後も、調査法を変えて引き続き調査は行われています。


目次(15)に戻る 前の号を読む 次の号を読む ホーム・ページに戻る