糖尿病と脳血管障害


 脳の血液の循環が、障害されることにより起こる病気をまとめて、 「脳卒中(のうそっちゅう)」といいます。 代表的なものに、「脳梗塞(のうこうそく)」「脳出血」「くも膜下出血」などがあります。 脳梗塞とは、脳の血管がつまってしまう状態で さらに「脳血栓(のうけっせん)」と「脳塞栓(のうそくせん)」に分けられます。 脳血栓とは、脳の血管の動脈硬化により内腔が次第に狭くなり、 ついには閉塞してしまうことをいいます。 脳塞栓とは、心臓などにできた血液の固まりが、 脳の血管まで流れていって、脳の血管を塞いでしまうことをいいます。 脳出血とは、脳の血管が破れて、血液が脳にあふれ出す状態をいいます。 くも膜下出血とは、やはり脳の血管が破れて、脳と脳膜の間に血液が流れ出す状態です。 これら脳卒中の症状は、脳の障害の程度や、障害を受けた部位により全く無症状のものから、 生命の危険を伴うものまで様々です。 糖尿病と脳卒中の関係は、昔から多くの学者によって研究されてきました。 脳卒中の中でも、脳梗塞は、糖尿病と関連が深く、 脳梗塞の危険因子の一つに糖尿病をあげている研究報告が多いようです。 脳出血は、糖尿病のあるなしとはあまり関連がなくむしろ高血圧の影響が強い との報告が多いようです。 また、高血圧は、脳梗塞の最大の危険因子であるともいわれており、 糖尿病でなおかつ高血圧も持っている場合は、注意が必要です。 また糖尿病の患者さんに発生した脳梗塞の特徴は、 小さな梗塞が、多発することであるといわれています。 このため、症状があまりなく、脳のCT検査などで偶然発見されることも多いのです。 また脳梗塞を起こしている糖尿病の患者さんでは、 すでに糖尿病の網膜症(眼の合併症)や、タンパク尿(腎臓の合併症)を有することが多い という報告も見られます。 また、糖尿病患者さんの脳梗塞は、再発しやすいという特徴があります。 再発のたびに次第に日常生活に支障がでてくるようになることが多いようです。 従って、脳梗塞の初発だけでなく再発を防ぐ目的で、 血糖コントロールに注意し、高血圧、高脂血症、喫煙といった動脈硬化の危険因子に対する 十分な注意か必要となります。


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