糖尿病と眼


 糖尿病は、あまり自覚症状が出ない病気です。 そのため、糖尿病と診断されていても、 つい治療を中断してしまう患者さんが少なくありません。 これがまたこの病気の恐ろしいところです。

血糖値が高いまま何年も、放置しておくといずれ、 眼の合併症が出てしまいます。 眼の奥にある「網膜(もうまく)」という所をを 中心とした異常が起こってきます(網膜症)。 この合併症は、最初のうちは、全く自覚症状がありません。 眼科で眼の奥の方を検査してもらって初めて発見されるのです。 初期のうちであれば、内科的にも、眼科的にも治療することができます。 しかしある程度、網膜症が進んでしまうと残念なことに、 現在の医学では、完全に治すことはできません。 網膜症が進行すると、眼の中で出血が起こり(眼底出血) ついには、失明してしまいます。日本で、失明の原因で、 一番多いのが糖尿病による網膜症です。

網膜症の他にも、血糖値が高いのを放置しておくと 「白内障(はくないしょう)」という病気が起こってくることもあります。 これは、比較的眼の表面に近い水晶体という レンズの役目をするところが濁ってくる病気です。 したがって、糖尿病と診断されたらたとえ眼の 自覚症状がなくとも、年に一度は眼科で検査を受けるべきでしょう。 このような、恐ろしい合併症を防ぐ最も有効な方法は、 血糖値をいつも良好な状態にしておくことです。 


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