高コレステロール血症と食事療法


糖尿病と高コレステロール血症を合併していることが少なくありません。検診などでコレ ステロール値が高いといわれた場合はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。 高コレステロール血症の食事療法の基本は次の4つであるといわれています。

まずは、摂取カロリーの制限です。標準体重あたり25から30キロカロリーの摂取カ ロリーとします。標準体重(現在の体重ではありません)が50キログラムで事務的な仕事を している人なら50かける25で1250キロカロリー程度が1日の摂取カロリーとなり ます。

次にコレステロールの摂取量を制限します。1日に300ミリグラム以下となるように します。しかしながら血液中のコレステロールは、口から入ったコレステロールばかりで はなく、体内(肝臓)で合成されたものも含まれます。コレステロールの摂取量が有る程度ま で増加すると体内での合成が減少します。摂取コレステロールが減ると体内での合成が増 えることもあり、単に摂取コレステロールの量を減らしても血中のコレステロールは減ら ないことも知られています。しかし、極端に大量のコレステロールを毎日とり続けると当 然血中のコレステロールも増加します。

また、摂取する脂肪酸の質を変えることも重要です。飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪 酸を増やすことが昔から推奨されています。不飽和脂肪酸はLDL受容体の活性を高めて血 中のコレステロールを低下させることが知られています。

昔から食物繊維を多くとることも高コレステロール血症に有効であるといわれています。

さて、高コレステロール血症の患者さんの中にはLDL受容体そのものに異常が有る場合 も少なくありません。このような場合食事療法はほとんど無効です。しっかりした食事療 法を行ってもコレステロールが下がってこない場合は薬を使う必要があります。 最近のコレステロールの薬は非常によく効きます。しかし、副作用がないわけではない ので、定期的に副作用の検査をする必要があります。


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