糖尿病と骨の病気


 最近、骨粗鬆症という骨の量が減ってしまう病気がクローズアップされ、マスコミなど でもしばしば取り上げられています。骨の量を調べる検診などもできました。以前は高齢 者の病気であると考えられていましたが、若い人にも多いらしいということがわかってき て注目を集めているのでしょう。

 昔から、糖尿病では骨量が減少している頻度が一般の人に比べて高いといわれていまし た。しかし、簡単でかつ正確に骨量を測定する技術がなかったこと、人種とか、性別、年 齢などの糖尿病以外の要因の影響も大きいなどの理由であまり正確なことはわかっていま せんでした。

一般の骨粗鬆症では女性に多いとされていますが、糖尿病で骨粗鬆症の頻度 に男女差はないという報告もあります。また、一般の骨粗鬆症と糖尿病で骨粗鬆症の場合 とでは骨折の頻度が違うという研究もあります。糖尿病で血糖コントロール状態によって 骨量に差があるという報告と、差はないとする報告もあります。現在、測定技術などの進 歩によりかなり精密な研究が行われていますが、結論はまだ先になりそうです。

 いずれにしても骨粗鬆症で骨折を起こすと日常生活に大変な支障をきたします。骨折が 原因で寝たきりになってしまう人も少なくありません。一方、骨粗鬆症を恐れて過度の牛 乳摂取によりコレステロールが上がってしまう人もいます。カルシウムの摂取不足は確か に骨粗鬆症の原因になり得ますが、それだけが原因で骨粗鬆症になるわけではありません。  バランスの取れた食生活、適度な運動、規則正しい生活が重要です。これが良好な血糖 コントロールにもつながってきます。 


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