低血糖の話


糖尿病の場合、どうしても血糖が高くなる(高血糖)ことが気になります。 しかし、低血糖についても十分な知識が必要です。 特に薬物治療をしている人は必須です。

それでは、なぜ低血糖が起こるのでしょうか。 インスリン治療をしている場合、副作用としての低血糖があります。 すなわち、過剰のインスリン注入は、血液中の糖利用(糖の消費)が増加し、 肝臓からの糖の放出が減少することにより、低血糖が起こります。

経口血糖降下剤を内服していても、低血糖がみられることもあります。 普段はなんともなくても、ちょっとした生活習慣の変更、乱れ、不適当な食事、嘔吐、下痢、深酒、 急激な運動などがきっかけで低血糖が起こります。

 では、低血糖になるとどんな症状が起こるのでしょうか。 一般的には、動悸、冷汗、手のふるえ、虚脱感、異常な空腹感などが多いようです。 もう少し進むと、集中力の低下、意識障害(昏睡)などが起こってきます。 このような症状がでてきた場合、迅速に処置をしなくてはなりません。 意識のある場合は、ともかく砂糖、ジュースなどを口に入れることです。 ただ、糖の吸収を遅らせる薬を服用している人は、 ブドウ糖以外は吸収が悪いということも考えられます。 (このような薬を服用している人は、たいていブドウ糖をもらっていることが多い) しかし、低血糖ということがはっきりしていれば、 何でもよいから甘いものを飲むというのが原則です。 意識がないときは、直ちに病院で、ブドウ糖の注射や点滴が必要です。 グルカゴンというホルモンを注射することもあります。

しかし、一番大事なことは低血糖を起こさないということです。 生活習慣を安定させるということが必要です。 また、糖尿病の薬(内服薬、インスリン注射)と併用すると、 低血糖を起こしやすくなる薬もありますので、糖尿病はこの病院、 血圧はあの病院というようにあちこちの病院にかかるのは危険です。 どうしても複数の病院で治療を受けなくてはならない場合は、 必ずどのような治療を受けているのかをその病院に知らせることが大事です。

また、低血糖ではないのに自分では低血糖だと思いこみ甘いものを常時口にして、 血糖を上げすぎている人をたまに見かけます。これも困ったものです。


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