肥満とウィルス感染


昔から肥満者はアデノウィルスという風邪の原因となるウィルスに感染している割合が高いことが知られていました。肥満者は免疫力が低下していてウィルス感染も多いのではないかとの考えもありました。

しかし、2000年にアメリカの大学によりこのウィルスを動物に感染させると脂肪の蓄積が多くなるということが発見されました。

また、アメリカでは美容のための脂肪吸引術がよく行われています。これは、脂肪がたくさんついた部位に管を差し込んで脂肪を吸い取ってしまうというものです。

吸引された脂肪組織から高い確率でアデノウィルスが検出されることも知られています。

さらに、最近の研究では吸引された脂肪組織から、いろいろな細胞に変化しうる能力のある幹細胞を取りだし、アデノウィルスと一緒に培養すると、効率に脂肪細胞に変化することがわかりました。ウィルスを加えないで培養すると、ごく一部の細胞しか脂肪細胞になりませんでした。

つまり、アデノウィルスと肥満の関係が示唆されたわけです。

一部にせよ、肥満の原因の一つにウィルス感染が関係しているとは驚くべきことですね。


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